小山医院 三重県熊野市 内科・小児科

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時世の粧い

偶然の一致

2024年01月28日

フランスに34歳という歴代最年少の首相が誕生した。それ以前、この国では現大統領も39歳で就任している。若いと思いつつ他の国に目を向けると、ニュージーランドでは最近まで37歳で首相になった人が、そして、フィンランドでは34歳で首相になった人が活躍している。それ以外の国を調べていないものの、3か国では若さが政治を席巻しているという感想だ。

フランスでは、伝統的に若い人が国のトップに就いているかというと、そうではない。歴代の大統領の就任年齢は、6代さかのぼってみると、若い人で48歳、ほとんどが60歳代で、70歳代で就任した人もいる。フランスの過去を調べてみた限りでは、彼我の差はないようである。ましてや、まもなく行われるアメリカ大統領選挙に立候補しようとしている人は70代と80代だから、若い政治家が統治することは、そのような国もある、という程度のことなのかも知れない。

それにしてもと思う。過去にさかのぼると、フランスと我が国とでは差がないものの、いまの彼の国のように30歳代の為政者が我が国にも出現するようになるのだろうか。いや、国の政治を任せるにあたり、年齢で区切ることは適当ではないかも知れない。

と、ここまで書いたまま、事情があって中断していた。その数日後、朝日新聞の天声人語に、「政治家にとって年齢はどれだけ重要なのか。」という書き出しで、アメリカ大統領選挙、フランスの34歳の首相を例に出している。そこで、若いという年齢ではなく、「大事なのは力量」だと説いている。そして、年齢についての調査、投票率などに言及し、昔、若かったケネディ大統領の演説に触れて文章を終えていた。

ところで、私が政治家の年齢について述べようと思った理由は、自分自身の来し方を顧みて、馬力のあった若い頃を想起し、フランスの首相にエールを送りたかったからである。と言いつつも、私と天声人語の記事がほぼ同じ時期に、政治家の若さのこと、しかも、フランス、アメリカと引合いまで偶然に同じだったことに驚いている。ここで、朝日新聞の人気コラムである天声人語と比べることは、畏れ多いことであるものの、偶然に一致したことに、見えない何かの力が浮かんだ。もしかしたら、事を成す、あるいは事が起きるときには、偶然も重なって、一気にうねりが出来るのかも知れないと、大層なことを思った。

若い政治家について考える人が一人、二人。それが10人、20人と増え、100人、200人とさらに増えて、もっとその先に、さらにさらに増えていくことを想像する。そのようなうねりがあるときに、人知の及ぶところではない偶然が大きな力を呼び出す役割を担うのかも知れない。そして、海の向こうのフランスに限らず、身近でも若者の台頭が用意されるのではないかという夢想に浸るに至った寒中のひと時であった。