小山医院 三重県熊野市 内科・小児科

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熊野市で

熊野市の少子化を想う

2013年12月09日

年初の新聞のコラムを読んでいたら、交際している異性はいないという独身者が増えている、という記事があった。これは、国立社会保障・人口問題研究所の調査による。独身者についての調査結果は、将来を揺るがす大きな問題だと思う。それはそれとして、私はひょんなことから、昨年この研究所の存在を知り、別の調査の結果を知って、実に大変な問題だ、と思っているところであった。別の調査とは、「日本の市区町村別将来推計人口」についてである。その中には、熊野市の人口減、更に子どもの数の減り方の推計が記されている。その熊野市での子どもの減り方をみて、大げさに言うとうろたえたのである。

子どもの数が減ることを少子化といい、少子化の対象となる子どもの年齢は、0歳から14歳とされている。少子化は、広辞苑第5版によると、「出生率が低下し、子どもの数が減少すること」、「1992(平成4)年度の国民生活白書で使われた語」と書かれている。また、「平成4年度国民生活白書」では、「出生率の低下やそれに伴う家庭や社会における子供数の低下傾向」と定義されている。政府レベルで、少子化が問題とされてから、ちょうど20年というわけだ。

熊野市の少子化の進み具合をよりわかりやすく見るために、始めに市全体の人口減についての推計値と、市の少子化の推計値とを比べてみた。以下、発表された結果を抜粋する。研究所では、将来を5年ごとに区切って、2035年まで推計している。

これによると、2010年の熊野市人口は19645人。この人口が2035年には、12414人となるそうだ。今から7年前の2005年を100とした指数では、58.5となり、30年で2005年の半数近くになるという。

続いて、0歳から14歳までの年少人口の減り方をみてみたい。私の診療に含まれている小児科領域でもある年少人口の推計は、2010年に2071人あったのに、2035年には、何と904人に減るのだ。総人口と同じように、2005年を100とした指数では、37.0であるから、3分の1に近い。ここで、年少人口の推計を全国と比べてみると、全国の指数は59.8であるから、全国的に少子化が進む中で、熊野市は更なる厳しい少子化に直面することになる。

熊野市の年少人口は、どのように減ってきたのだろうか。そこで、これまでの推移を調べてみた。熊野市のHPには、1975年までさかのぼって公表されている。これを研究所の推計人口と合わせてグラフにしてみた。グラフ上のどの20年の推移を見ても概ね半減している。20年ごとに半減した結果、1975年に6214人いた数が、たったの60年で、実にその1割5分にも満たなくなる、という推計だ。この深刻さは、数字をグラフ上に可視化したことで、より実感できる。

国が定めた少子化対策基本法を読んでみた。前文に「我らは、紛れもなく、有史以来の未曾有の事態に直面している。」とあり、少子化問題の深刻さが書かれている。また、熊野市長の今年度施政方針の中に「少子化対策として、男女の出会いのバスツアーや親同士の交流会を実施し、さらなる婚活支援の拡充を図って」という、実行しようとする文言も眼にした。諸外国も少子化対策をやってきた経緯がある。ヨーロッパ諸国では、その成果があったと聞く。しかし、減り様をグラフにしてみた私には、熊野市はもっともっと深刻な事態であると思えてしまう。国や自治体が定めた対策だけで、果たしてだいじょうぶなのだろうか、と心配なのだ。

昨年11月10日に行われた熊野市就学指導委員会の席上でも、この熊野市の少子化推計値について、止むに止まれぬ思いで問題提起させてもらった。折しも、原稿を書き終える段になって、この研究所から2060年までの将来推計人口が発表された。年少人口は更に減り続けて、50年後に半減するそうだ。60年で1割5分に満たなくなる熊野市の年少人口が、更に25年後の2060年にどこまで減るのか。怖くて、とても仔細に調べることが出来ないくらいだ。

何をどうしていいかわからないが、例えば病原微生物に対する特効薬を作るにも、先ずは、微生物の本態を知ることが肝要と思うから、少子化の問題も、医師会員各位も周知のことと思いつつも、改めて意識をしていただければ、という願いも込めて綴らせていただいた。私もいつも頭に留め置きたいと思っているが、これをきっかけに、身近なところで何か良い手立てに関するアイディアが生まれたらいいなと思っている。