小山医院 三重県熊野市 内科・小児科

三重県熊野市 小山医院

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診療の中で

アザ、ホクロ

2014年02月27日

時々、外来に子どもを連れてやって来る親から、アザやホクロを取ることが出来ないか、と相談される。それも、外から見えて、しかも大きなものではなく、胸や背中、あるいは四肢の目立たないところにあるものだ。取りたい理由は、子どもが大きくなったら、これがあることでいじめられるのではないかということだった。私のこたえはただ一つ、子どもの個性を表わすアクセントではないの?そのままにしておいたらどう?ということ。

そういえば、運動会で速い子と遅い子とを決めないということを聞いた。高校生がピアスをつけることや髪を染めることを指導されている。昔、私が中学生の頃、生徒指導していた先生がズボンの裾幅を測っていた。いたるところに、右へならえ、の「合唱」がある。このように、子どもを平均化させていくその先には何があるのだろう。

自戒の念を込めていうのだが、アザやホクロを許容する社会を、子どもを前にした大人が作らなければならないのではないかしら。個人を尊重することを学ぶのは、むしろ大人ではないか、と思うことしばしば。河合隼雄さんは、大人が既成の知識を注入することに熱心になると、子どもの個性を壊す、と述べている。子どもを育てることが大事なのは言うまでもないが、むしろ「大人育て」が喫緊の要事ではないかと思うこの頃である。